「読み聞かせは感情を込めずに淡々と進めた方がいい」「声色を変えたり抑揚を支えたりして自分なりの世界観を伝えたい」
絵本の読み聞かせ方にはさまざまな意見があると思います。どちらかでないといけないではなく、両者のメリットを生かし、場面に応じて使い分けることで、絵本の楽しみ方がグンと広がるのではないでしょうか。
■読み聞かせで感情を込めるメリット
声や抑揚に乗せて感情を込めながら読み聞かせをすることで、読み手の意図やイメージを伝えやすくなります。聞き手も同じ世界観を受け取りやすいため、感情と表現の繋がりを学んだり、読み手の表現から新しい発見をしたりすることができます。まるで人と人とのコミュニケーションの中で学ぶように、感情の変化や情景を擬似体験することができます。
■読み聞かせで感情を込めないメリット
いわゆる“棒読み”スタイルの読み聞かせでは、誰のセリフなのか、うれしいのか悲しいのかなど、読み手の声から分かりやすく受け取ることができません。そのため、集中してストーリーを読み取り、情景や感情を想像しながら聞く必要があります。その過程が集中力や想像力、聞き取る力などを鍛えることに繋がるでしょう。
例えば、聞き手がまだ言葉を知らない小さな子どもの場合、感情がこもった言葉の方がその意味を掴みやすく、言語の習得を後押ししやすくなるでしょう。一方で、本の読み聞かせを通して読解力を鍛えたいとなれば、感情を込めることで考える機会を奪ってしまうかもしれません。
効果的な読み聞かせの方法は、聞き手や読み手の状況や目標によって異なります。本に触れて楽しさを味わって欲しい、読み聞かせを通してコミュニケーションを楽しみたい、相手の考える力を鍛えたいなど、必要に応じて適する方法を選んではいかがでしょうか。
(Nao Kiyota)