ゴールデンウィークが明けた後、「会社に行きたくない……」「人間関係が煩わしく感じる……」と、何だか無気力になっていませんか? もしかしたらそれ、五月病かもしれません。
精神科医で市川メンタルクリニック院長の芦澤裕子さんによれば、五月病は医学的には「適応障害」や「うつ病」と診断されることが多いのだとか。
「五月病は、今の季節に起こりがちな抑うつ症状を呈する状態のことを指します。精神的または身体的なストレスや疲労によって心身に過大な負荷がかかって脳がうまく働かず、ボーッとしたり精神的に不安定になったり無気力になってしまう状態です」
次の10項目に当てはまる人は五月病リスクがあるかもしれませんので、チェックしておきましょう。
□完璧主義である
□この春、仕事や家庭において大きな人間関係の変化があった
□勤務時間が1日10時間以上の日がほとんどである
□リモートワークであまり日中外出しない
□1日中スマートフォンやPCなどを見ている
□愚痴を言う家族、同僚、パートナーがいない
□寝不足と感じる日が多い
□糖質や脂質に偏った食事など、栄養バランスの悪い食事をすることが多い
□お酒を頻繁に飲んでいる
□軽い運動もする習慣がない
いかがでしたか? 2項目以上思い当たる人は、環境の変化によって精神的ストレスや肉体疲労を溜めてしまうリスクがあるそうです。
■睡眠の量と質からの対策とは?
前出の芦澤さんは、五月病と感じる精神的な無気力さの要因について、「何らかの理由で自律神経、脳神経が上手に機能できていないことなど、さまざまな要因が考えられます」と述べています。また、「身体組織の疲労回復には、睡眠の量や質が深く関わっています」と、睡眠環境の見直しに取り組むよう勧めています。主な見直しポイントは次の7点です。
●起床時刻を一定にする●睡眠の質を上げる食生活を●お酒は避け、カフェインは夜眠る時間の5時間前までに●夕食には脂っぽいものをなるべく摂らない、もしくは控える。腹八分目を心掛け、理想は就寝の2~3時間前には食べ終える●午前中に屋外で15分以上散歩するなど、ほんのり汗をかく程度の運動が理想的●就寝時に深部体温が下がるようにぬるめの半身浴を●眠る1時間前からはパソコンやスマートフォンの液晶画面(ブルーライト)は見ない
中でも、すぐに実践しやすいのは睡眠の質を上げる食生活。ポイントを紹介していきましょう。
■睡眠の質の改善に必要な栄養素とは?
●タンパク質(神経伝達物質を作る)●ビタミンB6(セロトニンの合成に不可欠)●ビタミンB12(脳神経の正常な働きを助けてくれる)●トリプトファン(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の原料)●鉄(ドーパミンを作るのに必須といわれる)●GABA(ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる)●グリシン(体の末端部分の血行量を増やして深部体温を冷やす)
「肉や魚を日々の主菜にきちんと取り入れ、ビタミンB12が豊富なしじみやあさりなどの貝類、グリシンが豊富なエビやウニ、トリプトファンが豊富な豆腐や納豆、GABAが豊富な発芽玄米がオススメです。また、睡眠の質の改善に役立つ栄養素を含むといわれるユーグレナは59種類もの栄養素を含み、その中にはビタミンB6、ビタミンB12、トリプトファン、鉄、GABA、グリシンに加え、ユーグレナ特有のβグルカンであるパラミロンも含まれています」(芦澤さん)
■睡眠の質はビジネスパフォーマンスにも影響がある?
最近では、睡眠とビジネスパフォーマンスとの相関性に注目している企業も増えていて、ビジネスパーソンの睡眠の質を上げる施策が積極的に推進されているようです。
近々では、異業種連携によるミレニアル世代の有志の働き方改革推進コミュニティ「MINDS(マインズ)」とユーグレナ社、ブレインスリープ社の3団体が、睡眠の質とビジネスパフォーマンスの相関関係の検証をスタートすることを発表。MINDSは、これらの検証を行うことで新しい働き方を発信していくそうです。今後、企業がこうした施策を積極的に実施してくれたらいいですね。
「五月病かな?」と思ったら、まずは睡眠や食生活を見直し、心身ともに健やかさを取り戻してくださいね。