ビッグモーターの保険金不正請求問題で急展開だ。7月25日、同社の兼重宏行社長らが都内で記者会見を開催し、自らの辞任を発表。翌26日付けで現専務が社長に就任することを明らかにした。
記者会見では兼重社長が「特別調査委の報告書を受けて本当に耳を疑い、愕然とした」と語り、不正について知らなかったと強調。「あり得ない。許しがたい」と述べたうえで、ゴルフボールをぶつけてユーザーのクルマを毀損していた行為について「本当に許せません。わかり次第、刑事告訴を含む厳正な対処をする」と、従業員の刑事告訴も視野に入れていることを明かした。
報道されている数々の不正については「天地神明に誓って、知りませんでした」と関与を否定。会見の最後には前述の刑事告訴発言について「いま考えるとその責任は私にある」「考え直しました」などと語り、自身の発言を否定した。
このように社長交代という一大事に至った今回の不正問題だが、記者会見が行われた7月25日というタイミングに救われた人物がいるというのだ。
「ビッグモーターのCMキャラクターを6年半にわたって務めてきた佐藤隆太は、今回の記者会見に胸を撫でおろしていることでしょう。佐藤側は7月21日に、CM出演契約を7月20日付で解除したと発表。そこからわずか4日で創業社長の引責辞任が明かされたのですから、もしこの順番が逆だったら、佐藤に対する風当たりはさぞや大きくなっていたでしょうね」(芸能記者)
佐藤を巡ってはビッグモーターの不正を知る立場にないことから「彼も被害者」との声がある一方で、同社の不正が5年以上前から行われていた可能性があることから、「6年半もそんな会社からギャラをもらい続けていた」と批判する声もあるようだ。
佐藤に対する批判は的外れとの指摘も少なくないが、ビッグモーターと言えば佐藤というイメージがついていたのは確実だろう。その状況において7月20日の段階でCM出演契約を解除したのは、英断だったのではないか。
「国土交通省では7月26日にビッグモーターを聴取する予定。そういった監督省庁の動きを待って、CM出演について検討するという判断もありえたでしょう。それでも佐藤側では国交省の動きを待たずに契約解除を進めました。これが結果的に社長会見に先んずることとなり、佐藤のイメージ低下を食い止めるという命拾いに繋がったのではないでしょうか」(前出・芸能記者)
CMキャラクターのほうから出演契約を解除した例はほとんどなく、佐藤側では前例がないなかでの難しい判断を迫られていた。そこで出した「契約解除」という結論が大正解だったことにより、佐藤は芸能界に大きな「前例」を作ったという功績を手にしたのかもしれない。