お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が、性加害疑惑を報じた「週刊文春」との裁判に注力するとして、芸能活動休止を表明してから1週間。1月14日には、松本とともに名前があがっていたお笑いコンビ・スピードワゴンの小沢一敬も当面芸能活動を休止することを発表するなど騒動の余波は収まる気配はない。そして、松本の突然の活動休止を受け、もっか対応に迫られているのが、松本の出演番組を持つテレビ各局だ。
「各局とも松本がレギュラーを務めている番組について、収録分は放送し、その後は吉本興業と協議して番組を継続させるか検討しているところのようです。とはいえ、『人志松本の酒のツマミになる話』、『まつもtoなかい』(いずれもフジテレビ系)は、番組名に松本の名前が入っていることもあり、放送継続は難しい。番組のCMスポンサーも提供として名前を出さないでほしいという要請もあったそうですから、フジは4月の改編を待たずに打ち切りする可能性が高くなっています」(民放関係者)
そのフジでは、松本は、自身が過去にレギュラーでコメンテーターを務めていた「ワイドナショー」へ、1月8日のXの投稿で出演すると表明するも、結局1月14日放送分への出演はとりやめに。どうにもドタバタ感がぬぐえない印象だが、テレビ各局を俯瞰で見れば、意外にも“冷静”に番組の調整を進めているという。
「松本個人の色が強い番組は打ち切りになりそうですが、ダウンタウンとして出演する番組は、基本的に各局で継続する予定。松本の代役は吉本が用意して、相方の浜田雅功と相性の良い後輩芸人をピックアップする予定のようだ。芸人の身辺チェックを厳重に行われ、過去に松本が仕切るような高級ホテルでの飲み会に参加していないことが条件だとか。そのうえで1月後半から、順次、松本の代役芸人がダウンタウンの番組に出演していくようですよ」(前出・民放関係者)
前述の小沢は、自身が司会を務めるNHK Eテレのバラエティー番組が性加害問題発覚後、すぐ放送見合わせに。民放とNHKの違いはあれど、松本の場合は、14日に放送された「まつもtoなかい」のように、収録分はそのまま放送するというスタンスのようだ。この違いは何なのか。スポーツ紙の芸能記者が裏事情をこう明かす。
「民放各局のバラエティ―番組は吉本興業のタレントに依存している部分が強く、とりわけ松本が持っている視聴率を本音では手放したくない。業界内での指標の一つといわれる『潜在視聴率』は、松本については、7%とトップクラスで、今人気上昇中の麒麟・川島明や千鳥よりも高いんです。もちろんダウンタウンとしての人気も高く、無下に『松本切り』なんてできませんよ。民放の中でも、最近、特番として放送している『ダウンタウンvsZ世代ヤバイ昭和あり?なし?』(日本テレビ系)にいたっては、若い世代を中心にしたコア視聴率が7%をキープしていて、今後に大きな期待がかかっている。テレビ局としては、旧ジャニーズ事務所と違い、手のひら返しをできない切実な問題を抱えているんです」
もっとも、松本が、活動中止の理由に挙げているとおり、本気で裁判に注力すれば、裁判に要するであろう数年はテレビから離れることとなる。かばい続けるのは難しくなるのではないか。
「旧ジャニーズの性加害問題の場合は、事務所の創業者のスキャンダルで、テレビ業界も薄々気付いていながら何もできなかったという負い目もあるでしょう。しかし今回は松本個人の問題で、吉本興業の影響力はテレビ業界に浸透したまま。協力体制を組み、松本が戻ってこれた時に、復帰できる土台を作っておけます。不倫騒動でしばらくの間仕事が減った吉本芸人が、いつの間にか息を吹き返し、人気を獲得したケースもありますから。ただ、“単なる不倫とは違うのかどうか”が大きな問題ですが…」(前出・民放関係者)
平成以降のお笑い界をリードしてきた松本が、ふたたび、尖ったギャグ連発で爆笑を生み出す日は来るのか。
(渡邊伸明)