5月26日放送のNHK大河ドラマ「光る君へ」第21回「旅立ち」の視聴者から、どうやら義務教育の間に1度は国語科教材として触れたことがある「枕草子」が熱い視線を送られているようだ。
同回の展開はこうだ。前回の第20回「望みの先に」のラストシーンで髪を切った定子(高畑充希)が出家する。定子にお仕えする女房のききょう(ファーストサマーウイカ)は、生きる意欲を失くしてしまった定子に心を砕き、まひろ(吉高由里子)に何かいい知恵はないかと相談する。まひろはききょうが以前、定子から高価な紙を賜ったと話していたのを思い出したことから、「その紙に中宮様のために何かお書きになってみたらよいのでは?」と提案。さらにまひろは「みかどが司馬遷の『史記』だから、ききょう様は春夏秋冬の『四季』とか?」、と内容にまで踏み込んだ助言をしたことから、日本人なら誰もが知っている名文「春はあけぼの」で始まる「枕草子」をききょうが書きはじめたことが描かれた。
特に多くの視聴者の胸を打ったのは、ききょうが定子を励ましたい一心で書いた「枕草子」を定子が静かに音読するシーンだろう。定子を演じる高畑は声に気持ちを載せ、見事に生きる意欲をそこに見つけたことを表現。対するききょうを演じるウイカにセリフはまったくない代わりに、流れるように美しい手書き文字で「枕草子」を記す様子が静かに映し出されたため、ネット上には「ウイカの筆文字が美しすぎる!」「本当にウイカが書いてることがわかって、その筆文字のきれいさにびっくりした」「あの美しい手書きの『枕草子』に私も定子のような気持ちになった。もっと読みたいから生きると思って涙出た」といった声が続出。さらにそんなシーンの締めを担ったのが、美しい日本語を話すことにかけては天下一品の伊藤敏江アナによる「たったひとりの悲しき中宮のために『枕草子』は書き始められた」のナレーションが入ったのだ。
「この日は放送直後からネット上に『枕草子が読みたくなった』の声が相次ぎました。定子とききょうは、誰もが理想と思える信頼関係や友情が先にありきの主従関係です。ウイカはこの日の放送終了後に自身のXを更新し、視聴に対してのお礼を述べてから、<枕草子のシーンは紙と細筆に向き合い何時間も稽古しました>と綴り、細筆で書いた文字がびっしりと書かれた何枚もの半紙の写真とともに<(撮影の)空き時間にひたすら書いていた練習のもの>と説明。さらに<10年習字習ってて良かった>と泣き笑いの絵文字を添えていましたから、ききょうの気持ちは定子だけでなく視聴者にも伝わったということでは」(女性誌記者)
女性同士の友情は成立しにくいという定説があるからこそ、定子とききょうの友情に胸を熱くする視聴者が多かったのかも。