「向井理の演技が上手くなった」
2年前の2022年が明けてしばらくしてから、ネット上にはそんな声があがり始めていたことをご存じだろうか。当時、BSテレビ東京およびBSテレ東4Kで放送されていたドラマ「婚活探偵」で向井は、元・敏腕刑事で現在は婚活をスタートさせた探偵・黒崎竜司を演じていた。
ハードボイルドを自称する女性とまともに交際したことがない探偵の黒崎という役柄を、向井はシリアスとコミカルを行ったり来たりしながら好演。「向井が役者としてひと皮剥けた」と表現する声まで聞こえるようになったのだが、どうやら向井の演技力はあることをきっかけにして明確に上達したようだ。
さる5月30日放送の「A-Studio+」(TBS系)に出演した向井は、MCの藤ヶ谷太輔から「芝居の取り組み方が年齢で変わったか」と質問され、「家族ができたことも大きなターニングポントだった」と前置きしてから、「2020年、コロナ禍の時にぱったり仕事がなくなって。それでもう、どうしたもンかなぁと思って。自分なりにもう1度お芝居のことを勉強し直そうと思って」、アメリカの演技指導者の1人として有名なステラ・アドラーによる「魂の演技レッスン22」という、想像力を根底とした演技論、演劇論と同時に哲学的な要素もある本を読み返したと説明。同書を買った当時はまだ役者を始めたばかりの頃で、本を読んでも「ぜんぜんチンプンカンプンだったものが、『なるほどなぁ…』って思うことがたくさんあって。そこからちょっといろいろ変わりましたね」と明かした。
たとえばアンティークな年代物の食器が置いてあったとして、そのことを見ている人に伝えるためには、片手でスッと持ち上げたりせず、きちんと両手で大事に持ち上げなければ伝わらないということが再確認できたとして、「そういう芝居をしていかないと続かないなっていうのは、そこで考え直したっていうのはありますね」と続けたのだった。
「視聴者からは、ネット上に、『向井は理数系男子らしく理論的に演技を学び直したってことか』『ムカイリは頭で演技を理解し直したわけね』『丁寧な演技をしないと仕事がなくなると実感したわけか』といった向井の頭の中を様々に考察する声があがっていましたね」(女性誌記者)
自身が卒業した明治大学農学部生命科学科では遺伝子工学を学んでした向井。現場で先輩役者の演技を見るのもさることながら、本を読んで理論を知ることが演技の各段の上達につながったということかもしれない。