10月17日の昼過ぎ、西田敏行さんが自宅で亡くなったことが各メディアで報じられた。11月4日の誕生日を待たず、76歳だった。
10月8日には12月に公開される劇場版「ドクターX FINAL」の完成披露記者会見に登場。2012年10月から1クール3カ月で終わると思っていたドラマが大ヒットし、この12年間で連ドラ7本、SP1本も制作され、この映画がシリーズ最後の作品となった。
西田さんはこのシリーズ作品中でずっと演じてきた蛭間重勝というキャラクターと作品自体に対し「蛭間重勝という役とこれでさよならするのかなぁと思ったら、ちょっと淋しいというか、何かそういう気持ちになりましたねぇ。割とあのー、役者やってて、いろんな役、いただくわけですけど。蛭間重勝って役は好きな役のベスト5に入るんですよねぇ。ですからずーっと『蛭間重勝でいたいなぁ』っていう気持ちがあったもんですからね(と涙声になりながらも制御して)、だから何となく『終わるのはイヤだなぁ』っていう感じはしてました」とコメント。今になって思い返すと「終わるのはイヤだなぁ」と言った時の西田さんの淋しそうな表情が忘れられない。まさか8日後にこんな突然の別れが来るとは誰も想像していなかっただろう。
西田さんが演じる、その世界で生きている血の通った役をもっと見たかった。今年3月3日放送の「ボクらの時代」(フジテレビ系)に出演していた劇団青年座の後輩である鈴木浩介が、西田さんから「セリフは覚えないで食べてください」と言われて心に刺さったと明かしていた。
共演していた田中哲司が「覚えただけではセリフだよ。食って血肉にして、初めてそれは覚えたことになるんだよ。覚えて言うだけでは、ちゃうよ」と、西田さんの真意をテレビ番組だからこその解説をしながら、「ちょっと涙出てきた」と言っていたことを鮮明に覚えている。
一般市民はもちろん、役者仲間からも愛されている西田さん。ご冥福をお祈り申しあげます。
(津島修子)