2025年の「映画興収」が過去最高、邦画“大豊作”でも映画ファンが素直に喜べないワケ
日本映画製作者連盟(映連)は1月28日、東京都内で記者会見を開き、2025年の映画興行収入が「2744億5200万円」に達したと発表した。2019年の「2611億8000万円」を上回り、歴代最高の興行収入となった。
会見に出席した鳥谷能成会長は「大豊作の1年」と振り返った。昨年は大きく興収を伸ばしたメガヒット作品が多く生まれ、「1955年以降の長期データと比較しても、単価の違いはあるものの、歴代最高水準であることは間違いありません」と説明した。
「2744億円」の興収の内訳は、邦画が約2075億円、洋画が約668億円。近年の傾向だが、昨年度も邦画が洋画を圧倒した。中でも際立った数字をあげたのがアニメ映画で、トップの成績を収めた「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」が391億円の興収を記録したほか、「名探偵コナン 隻眼の残像」(147億円)や「劇場版『チェンソーマン レゼ篇』」(104億円)も、メガヒットの基準とされる100億円の大台を突破している。
また、実写作品では2025年のトップとなる総合2位の「国宝」が興収195億円を記録。第98回米アカデミー賞の「メイクアップ&ヘアスタイリング賞」に、邦画として初ノミネートされるなど異例の躍進を見せた。
昨年の興収ランキングトップ10を見ても、やはり目立つのはアニメと邦画の強さ。10作品のうち、海外作品は3作品にとどまり、実写のアメリカ映画は「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」(52億円)と「ジュラシック・ワールド/復活の大地」(49億円)という、人気シリーズのみ。このあたりが、“歴代最高の興収記録”といえども映画ファンが手放しで喜べない要因になっている。
「また、興収上位のアニメ作品を押し上げている要素の一つに、アクティブファンによる“推し活鑑賞”があるといわれています。限定グッズ欲しさに、1人が何度も劇場に通うという傾向が目立っているのです。今回上位に入った作品も、クリアファイルやイラストカード、冊子などの劇場限定グッズを配布しています。それが映画業界の経済を活性化させている面はあるものの、一方で、転売屋の標的になるなど様々な課題が浮き彫りになった1年だったと言えまです」(エンタメ誌ライター)
アニメの勢いはそのままに、ハリウッド作品が往年のパワーを取り戻してくれることに期待したい。
(木村慎吾)
