実は控え目で、みずからを陥れることで笑いを取る天才系芸人。それが、南海キャンディーズ・山里亮太だ。メイン司会も、サブMCも、ひな壇もガヤも、すべてをこなせるマルチプレイヤー。しかし、「嫌われ者」を公言するだけあって、歴代の相方はほぼ、ケツを割って逃げている。演芸雑誌のライターは言う。
「山ちゃんは千葉県出身なんですが、笑いを学ぶためにあえて大阪に行き、NSC(よしもとのタレント養成学校)に入学。在校時の2000年に最初のコンビ『侍パンチ』を結成しましたが、卒業2週間前に解散。のちに、元暴走族の総長だった相方と『足軽エンペラー』を組みました。このコンビは、人気バラエティ番組『ガチンコ!』(TBS系)の名物企画“ガチンコ漫才道”に出演。あのオール巨人に認められて、優勝しています」
未来を嘱望された2人だったが、相方が書くネタに山里がダメ出ししまくったため、03年に解散。その後は、ピン芸人「イタリア人」を名乗った。
ところが翌04年、将来の伴侶といえる山崎静代をパートナーに迎えて、「すずらん」を結成。180cmを超える長身の女性が、小さな花・すずらんを名乗るミスマッチがおもしろいと一部で評判だったが、ここから再び、混迷の道に進む。
「よしもとの先輩の悪ふざけによって、コンビ名を『南海ホークス』に変えられました。のちに、南海のスター選手だった『門田』になり、今の『南海キャンディーズ』に落ちつきました。山ちゃんもしずちゃんも、野球に詳しくなかったという理由でした」(演芸雑誌ライター)
迷走は、まだ続いた。“キャンディーズ”という70年代アイドルに引っ張られて、山里が「ランちゃん」に改名。わずかな期間ではあるが、「しずちゃんとランちゃん」を名乗った。さらに、先の「門田」をリサイクルすべく、山里は「門田ラン」に再改名している。遠回りしすぎた南キャン。この歩みも立派なネタか。
(北村ともこ)