名刺に顔写真を入れて、顔と名前を覚えてもらうというのはよくある方法。ほかにも立体シールを貼ったり、形が変わっていたり、いい匂いをつけたりと、差別化の方法はいろいろあります。ただ、名刺に載っている似顔絵を見て、なんとも言えない気持ちになったこと、ありませんか? 世界地図が描かれていて「いくらなんでも大袈裟でしょ!」と思ったり、裏面が全面ショッキングピンクだったりする「イケイケ感」にトホホな気分にさせられたり。
「名刺で差をつけたい」という気持ちは汲みたいところですが、やりすぎると相手によってはドン引きされてしまうリスクも伴います。そこで、“さり気ない”のに“心に刺さる”名刺のテクニックを紹介したいと思います。
名刺の標準的なサイズは91ミリ×55ミリ。「名刺4号」または「大阪9号」と呼ばれるそうです。この寸法になった由来は、「黄金比」が関係していると言われています。パルテノン神殿や絵画「モナ・リザ」など、人が見たときに美しいと感じる構図の比率に当てはまる「1:1.618」という魔法の数値が「黄金比」です。
ところが、91を55で割ると答えは「1.65454…」になってしまいます。逆に55に1.618を掛けると「88.99」。およそ89と考えると、実は、名刺は長辺が2ミリ長いということになります。
そもそも、なぜ名刺がこのサイズになったかというと、3寸(90.9ミリ)に対し、黄金比を用いて短辺「55ミリ」が決定したのだそうです。「56ミリ」にすれば、いまよりも黄金比に近づくわけですが、どうしてそうしなかったかは、このサイズがここまで定着した今、追究しても不毛なのでしょう。
さて、そこでオススメしたいのが、名刺の長い辺を2ミリカットして、万人が美しいと感じる「完全な黄金比にしてしまう」という方法です(注:定形の4号サイズを変形させて発注すると、裁断の工程が増えるために別途料金が発生します)。
画像は「黄金長方形」(辺の長さの比が黄金比になる四角形)の「黄金分割」をガイドラインで可視化したもの。黄金長方形は、短辺を一辺とする正方形をカットすると、残った部分がまた黄金長方形となります。赤、青、緑、オレンジの線でカットすると残りは永遠に黄金長方形ができるというわけです。
ちょっと手間ですが、“ここぞ”という商談相手との挨拶時に、予め2ミリカットした「黄金比名刺」を使ってみてはいかがでしょう。何の変哲もない名刺なので、特にリアクションがあるわけではないですが、「見て、触って」の感触がなんとなく心地よく思われるかもしれません。