6月26日に富山県で発生した交番襲撃事件。容疑者は警察官から拳銃を強奪し、工事警備員の一般人男性を銃撃。その後は近くにある小学校の敷地内に侵入し、そこで駆け付けた警察官に撃たれ、現行犯逮捕された。事件当時、小学校内では約410人の生徒が授業中だったが、警察から刃物を持った男が逃げているとの連絡を受け、保護者に対して下校が遅れるとのメールを送信。児童を全員を体育館に避難させたという。
この対応については「迅速な対応は素晴らしい」「子供たちがすぐに避難できたのはスゴい」といった声がある一方、「一カ所に集めると容疑者が来た時にむしろ危険では?」といった疑問もあがったようだ。これらの意見に関して、小学生の子供を持つ女性誌のライターが指摘する。
「あまり知られていませんが、全国の小学校では不審者に備えた避難訓練を定期的に行っているところが多い。今回のように全児童を体育館などに集合させるほか、各教室を締め切って身を潜めるという訓練も実施しているのです。一カ所に集めることに対して不適切との声もありますが、それは子供を持たない人の発想でしょう。体育館の扉を閉め切れば不審者の侵入を防げますし、先生たちも集まっているので子供たちに対するケアもできる。むしろバラバラに逃げるほうが子供がパニックになりかねませんし、保護者目線では体育館への一斉避難が最も安全な対応ですね」
今回の事件でも、現場となった小学校ではおそらく、同様の訓練を行っていたはずだ。これらの訓練に際しては、過去の事件からの教訓が生きているという。
「2001年に大阪府で発生した小学校襲撃事件では、8人の児童が亡くなるという痛ましい結果となりました。各小学校では避難訓練を行う際に、事件の核心はオブラートに包みつつも、過去に悲しい事件があったことを生徒たちに伝えています。同様の悲劇が二度と起こらないように、教育現場では教師と児童、保護者達が同じ思いを共有しているのです。今回の事件でも亡くなったお二人のご冥福を祈るとともに、子供たちに危害が及ばなかったことに深く感謝したいです」(前出・女性誌ライター)
小学校の安全は地域の安全に結びついている。子供がいようといまいと、自分が住む地域への安全意識を常に持つようにしたいものだ。
(白根麻子)