かつて、民放ドラマの“王者”と呼ばれていたフジテレビ月曜9時枠、通称「月9」。「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」「ひとつ屋根の下」…世に送り出した“傑作”は数知れず。その一方、期待を大いに裏切った大コケ作品も少なくない。ここではあえてそんな月9枠が生んだ“爆死の駄作”たちを振り返っている。
・「好きな人がいること」(2016年)
満を持して福山雅治を主演に起用するも大ゴケした「ラヴソング」に続き、2クール連続で大コケすることになったのが桐谷美玲主演の「好きな人がいること」。平均視聴率はまたも9%すら超えない8.9%に終わり、「月9凋落」を決定づけることとなった。
主演の桐谷美玲と初恋相手役を演じた三浦翔平が後に結婚したとかいうあたりもおもしろいエピソードではあるのだが、何しろ内容があまりにも陳腐。不器用なヒロインと協調性のないイケメンがなんやかんやの後に最後はキスをしてハッピーエンド。いや、これが90年代前半ならば大ヒットしたのかもしれないが、さすがに2010年代も後半に入ってこれはない。
見どころといえば吉田鋼太郎の謎キャラと桐谷美玲と山崎賢人の生々しいキスシーンくらいなもの。だいいち、桐谷美玲が「もてない」「仕事がない」という設定のキャラを演じることに無理があるのだ。
こうして終わってみれば桐谷美玲と三浦翔平をくっつけたことと「月9凋落」を招いたことだけが「好きな人がいること」の成果であった。
(山三大志)