フランス・パリ在住の作家・辻仁成が3月25日、自身のブログを更新。新型コロナウイルスの感染拡大で外出制限されている現地での生活の様子を綴った。
辻は「ロックダウン（外出制限）の恐ろしい罠」というタイトルのブログで、「日本の皆さんも不安だろうから、ぼくと息子が経験していることがいつか日本でロックダウンが起こった時の小さな備えになるならばと」、自身の体験や感じたことなどを詳細に記している。
それによると、「とにかく、やることがないし、こういう状況だと外出したくもなくなるし、最初は息子と燃えていた筋トレも既にやらなくなってきた。」と、毎日の生活もモチベーションが保てなくなってきている様子を明かし、「いつも履いていたスリムジーンズを履いたら、うう、確かに太ももが、やばい。」と、日々のトレーニングが怠りがちになった結果、体形にも変化が生じたという。
辻は「他にすることがないので、ついつい食べ続けてしまうのである。あり余った時間に対して、それくらいしか愉しみがない。」と、楽しみが「食」にのみ向かってしまっているとし、「これらの暴飲暴食は、どうやら心理面から来ている要素が強いようだ。つまり、経験したことがない封鎖措置の、そこから来る不安のせいで、つい食べるものに手が出てしまう。今後、食べられなくなるかもしれないという不安から、今、食べられるうちに食べておこうという心理が働いてしまうのだ。」と、冷静に分析し「これは実に恐ろしいコロナの副作用」とした。
また、一緒に暮らす16歳になる長男について、「まだ外出制限が発動されてからわずかに一週間だというのに、息子との会話も激減してしまった。昼間、学校があるからこそ、夜、会うと『どうだった？ 楽しかったか？』という会話が成立するのだが、毎日、朝から晩まで一緒なので、『またお前か』みたいな感じになり、『おはよう』も『おやすみ』も消え失せた。」と、四六時中顔をつきあわせている故のデメリットを明かした。
長男は「なんで、パパは急にロックダウンって英語使いだしたの？ あとさ、オーバーシュートって何？」と疑問に思い、辻が「ロックダウンは外出制限のことで、オーバーシュートはきっと感染爆発みたいな意味だと思う。」と説明すると、「日本人なんだからさ、日本語で言えばいいじゃん。おじいさんおばあさん、わからないでしょ？ 一番そのことを届けないとならない人たちにロックダウンって言葉、愛がないよ」と怒られ、今日の会話はこれだけだったとしている。
「辻さんは2003年に拠点をパリに移して活動しています。長男も一緒に暮らし、パリで学校に通っていますし、18年から二人でYouTuberとしても活動していますね」（芸能ライター）
辻のブログにネットでは「パリの様子が日本とは全然違っていてびっくり」「ヨーロッパのウイルス拡大は深刻みたいだね、日本はまだ平和だ」「遅かれ早かれ東京もこんな風になるのか」「息子さんがすごく冷静で、他者を思いやる余裕が感じられるのが救いですね」「辻さん父子の絆がますます深まりますように」といった反応が起きている。
辻のアドバイスを胸に、いざという時に慌てないよう、日本で暮らす我々も心の準備をした方が良さそうだ。
（石見剣）
