J1リーグ第32節では、首位に立つサンフレッチェ広島と2位のFC町田ゼルビアによる直接対決がおこなわれ、2-0でホームの広島が勝利。敗れた町田は3位へと後退すると、同チームの黒田剛監督が広島の「反スポーツ的行為」を厳しく糾弾している。
町田といえば、ロングスロー時に濡れたボールをタオルで拭いてから投げる姿がもはやお馴染みの光景だ。9月28日の試合でも、前半20分にDF林幸多郎がピッチ脇に用意された透明の袋からタオルを取り出し、ボールに付着した水滴を入念に拭き取ってからゴール前へ投げていた。
しかし、そのタオル入りの袋が置かれた場所は、ホームの広島のベンチサイド付近で、ウォーミングアップをするエリアでもあったことから、広島の一部控え選手や関係者によって袋ごと撤去されたり、袋の中のタオルに水をかけられるといった行為が確認された。
この広島側の“妨害行為”を目撃した黒田監督は第4審判にクレームを入れて激昂すると、試合後の公式会見でも、改めてリーグ側に抗議することを表明。広島の一連の振る舞いについて「やられ放題だ」と怒りをにじませ、「反スポーツ的行為に値すると思っています。対戦相手が用意したものを隠すとか、または袋のチャックを開けて中に水をぶち込むのは、ちょっとやってはいけない行為だと思いましたし、周囲もそれを黙認していたので」と行き過ぎた妨害だったと非難している。
なお、ボールを拭くためのタオルや、それを入れているビニール袋をピッチ脇の複数箇所に準備しておく行為自体に関しては、以前より物議を醸してきたが、日本サッカー協会審判委員会の見解は「リーグとしてタオルを置くことは禁止していない」というスタンスで、配置間隔や個数も、各チームが配慮をするべき事案だとして正式なルールは定めていない。
「もちろん、相手が用意したものを回収したり、中身に水をかけるといった広島の行為は別で処分を下す必要はありますが、広島側にも言い分はあります。まず、ピッチ脇に袋を置いた場合、プレー中の選手がそれを踏んで滑って転倒するリスクがある上、それがホームである広島のアップエリアにも置かれていたとなれば、“邪魔だから撤去するべき”となるのは自然な流れ。また、町田は、このタオルで水滴を拭き取る作業を大義名分とした遅延行為が散見されたり、PKキック時に敢えてボールを濡らして、相手GKがセーブしづらくするといった狙いの工作も問題視されてきました。したがって、それらを黙認してきた張本人である黒田監督によるスポーツマンシップへの言及には、他チームサポーターから『町田の日頃の行いも反スポーツ的なグレーゾーン』『いつもPKでは率先してボールをビショビショに濡らしてるじゃないですか』『まさに“お前が言うなオブザイヤー”ですね』『黒田監督が反スポーツ的行為を語り出す日が来るとは…』などと突っ込まれています」(スポーツライター)
海外リーグによっては、スローインのたびにボールをタオルで拭く行為を禁じているケースもある。そのため、まずは他サポーターから批判を集めている“ライン際のタオルの大量配置”についての議論を始めなければ、今後もよけいな二次的対立が生まれてしまうことにつながるだろう。
(木村慎吾)