「カネの問題」に悩まされるのは、何も一般人の世界だけではない。
2019年の芸能界では、お笑いプロダクションとして最大手の吉本興業所属タレントによる反社会的勢力への闇営業の発覚により、騒動は次第にプロダクションとタレントの“給料事情”にまで余波が及んだ。
スポンサーからテレビ局へ、そしてテレビ局からプロダクションへと支払われる出演料がどのような配分で所属タレントの懐に入るのかなど、様々な角度から“カネの問題”が取り上げられてきたが、中には自身の才能を盾にしながら、勇敢にもプロダクションへ賃上げの交渉に挑んできたタフガイもいる。
その筆頭格とされるのが、吉本興業に“尖った要求”を事あるごとに突き付けてきたお笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志と浜田雅功だろう。
2人は、関西ローカルでの人気に留まっていた吉本興業が東京進出を果たし、その勢いを全国区に広める上でのキーマンになったという自負があったことから、若手時代から吉本幹部へ直接ギャラアップの交渉に挑み、その地位を確立させてきた背景がある。
「松本は若手の芸人との飲みの席に参加すると、後輩たちが決まって吉本からの少な過ぎるギャラに不平不満を述べていることに違和感を覚えたと話しており、“そんなに文句があるなら、俺にじゃなくて会社に直接言えや”と諭すようです。しかし、後輩はいつも“そんなこと若手が言ったらすぐに干されちゃいますよ”と返してくることから、“俺は若手の頃から言いまくってた”と主張し、結局のところ、ギャラ交渉をしたことで干されてしまうような芸人であれば、薄給であっても仕方がない、というのが松本の考え方なのかもしれせん。彼の相方である浜田も、自らの会社への貢献度に自信があった為、社長の背中に乗り掛かりながら“ギャラ上げないならやめへんで”と、当時の吉本のトップの背中に無理やりおんぶしていたと、『ワイドナショー』(フジテレビ系)出演時に松本が明かしています」(テレビ誌ライター)
また、とある大きな仕事のギャラが振り込まれた際、松本は通帳に記されたあまりの額の少なさに不信感を募らせ、岡本昭彦社長に「これ、安すぎるやろ」と指摘したところ、後日、その額が2倍になって振り込まれていたという。
“もしあのまま黙ってたらどうなっていたことか”と回想した松本だったが、やはり社長を相手にギャラの不満を述べることができるのも吉本ではひと握りの芸人だけかもしれない。
(木村慎吾)