お笑いタレント・明石家さんまが2月1日放送の「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ系)に出演し、お笑いコンペティションで審査員を務めない理由について言及した。
トークテーマ「私がドキドキした瞬間」では、この日にゲスト出演したソプラノ歌手・岡本知高氏が、音楽の仕事をする中で審査員を任される場面が多いとし、「僕が1人だけバツを出した時のドキドキが‥‥。顔には出しませんけど、ハーッてなります」とコメント。
これにさんまが、オーディションやコンテストにおける審査員の責任の重さについて言及。「背負わなくてもええねんけど、M-1の審査員でもそうやもんな。人生をちょっと背負うから」と、漫才No.1を決する大会の審査員にも当てはまると語った。
すると岡本氏が、さんまがお笑いの賞レースで芸人の審査をしているところを見たことがないと振ると、この疑問に対し、さんまは「審査はしない」と即答。そのワケには「決めているというか、そんな実力はない。人を審査するほど。俺はね、そう思う」「人の人生を背負えない。その度量もない」と話した。
スタジオにはM-1決勝に3年連続で進出しているインディアンスもおり、さんまは「せやからお前らは(審査員に)気を使わせてんねん! 何年も決勝行くな! 7人が気を使って寿命縮んでんねんぞ。もう出んな、アホ!」とコメント。一方、そうした賞レースに目を通していない訳ではなく、「M-1、R-1、いつも全部見て、よっしゃ!(自分とキャラが)被ってない!」と、チェックし、「誰が優勝とかどうでもええ」とも語っていた。
かねてよりM-1グランプリなどの賞レースには懐疑的な目を向けてきたさんま。2016年1月9日放送の「さんまのまんま」(関西テレビ)でも、千原ジュニアから「賞レースの審査員にならないのには、何かワケがあるのでしょうか?」との質問が読み上げられると、「それは無理、無理、無理。そんな人を審査できるほど、これ(実力)を持っていないのはわかるから。とても無理やんな。どんだけ自信持って審査員してんねんやろって、いつも出るヤツよりも思う」と返している。
また、審査員が出場芸人のネタを評論している姿には、「お前、そんなに大したことないやないか、と思って見ている」とチクリ。加えて、そもそもお笑いに点数や順位を付け、競争させること自体が好きではないとも語っていた。
「お笑い界でトップを走るさんまが、自分には他人を評価するほどの実力がないと謙遜するのは、M-1審査員への皮肉のようにも聞こえてしまいます。また、仮にさんまが審査を任される場合には、『思いっきりスベるヤツが好き』とも明かし、村上ショージやジミー大西といった“スベり芸”を得意とする芸人を寵愛するさんまらしい哲学といえます。
今回の『さんま御殿』での『審査しない』発言には、世間から『しんどいんだろうね。そのコンテストの結果によって芸人の人生を左右するわけだから』『これに関しては人それぞれでいいと思う。正しいとか間違ってるではない』『さんまさんは誰かが作ったムーブメントに参加する必要がない。唯一無二の最高峰だし』『さんま師匠は漫才師でもないし、コント師でもないというのがあるかなと思う。審査員をするとしたらR-1だね』といった反応が寄せられました。
どちらかといえば、練られた笑いよりも、その場で偶発的に発生する感覚的な笑いを重宝するさんまにとって、賞レースにはあまり魅力を感じないのかもしれません」(テレビ誌ライター)
さんまが抱くお笑いの哲学が、ほんの少しだけ垣間見られた瞬間だったと言えるだろう。
(木村慎吾)