お金があっても満たされない…精神科医が警告「メンタル疾患に一直線」の危うい思考とは
「若輩者ですが、私はいわゆる富裕層に該当します。多くの人たちに賞賛されても嬉しくなく、あらぬ嫉妬を買い、虚しく、孤独であるという感覚に陥ります。大切な家族はいますが、なんというか世界が狭いです。どうすれば、より良い人生を送れるでしょうか?」
視聴者から届いたなんとも悩ましい質問に、精神科医・樺沢紫苑氏は、自身のYouTubeチャンネル「精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル」(2月12日付)で、次のように語った。
「ドーパミン的な幸福に傾倒した人の陥りがちな傾向です。お金を目的に生きるとそうなっちゃうよね…」
お金だけでは幸せになれないことは様々なデータで実証されているそうだ。樺沢氏は「幸福には3つの段階がある」としてこう続ける。
「ひとつはセロトニン的な幸福。睡眠・運動・朝の散歩とかをしっかりしていると、セロトニンの濃度がしっかりしてくる。物事をポジティブに捉えることができるし、頭も冴え渡るし、冷静に物事を捉えられるので、今のような悲観的な状態にはならないですよね。だからまず“健康の幸福”であるセロトニン的な幸福を整えましょう。その上で、“愛・繋がりの幸福”であるオキシトシン的な幸福を整えましょう。そして最後が、仕事を頑張ろうねというドーパミン的な幸福で、お金や社会的地位を目指しましょうね、と。きちんと“健康”と“繋がり”を整えた上で最後に“仕事”を頑張るというのが3つの幸福の理論なんです。もちろん、皆さんには仕事も頑張って欲しいんですよ。だけど、最初から仕事を頑張るので健康もボロボロ、人間関係もボロボロ。メンタル疾患に一直線…」
ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授は2010年、「感情的な幸福は年収7万5000ドル(当時のレートで約800万円)で頭打ちになる」という研究結果を発表した。だが、この理論は近年になって覆され、「10万ドル(約1500万円)以上になると幸福度がさらに上昇することが調査によって明らかにされている。
一方で、国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者1人あたりの平均年収は460万円、中央値だと351万円。“ドーパミン的幸福”は最後に位置づけられるとはいえ、多くの人にとって収入の問題は現実的かつ切実なテーマであることもまた事実だろう。
(所ひで/YouTubeライター)
