本人としては驚くのも当然だろう。
福岡ソフトバンクホークスの本多雄一コーチが、戸惑いの声をあげている。8月23日に自身のX(旧ツイッター)に「こんなことあるの? 漢字も一緒やし、ありえるの?」とポストしたもの。
同ポストでは、2024年新春に公開予定の映画「ある閉ざされた雪の山荘で」の公式Xを引用。そこには「劇団トップ俳優・本多雄一」との見出しがあり、本多雄一役を務める俳優・間宮正太郎のコメントが掲載されている。
間宮が演じる本多はたしかに、ソフトバンク本多とまったくの同姓同名。本多という苗字は全国に7万人ほどいるそうで、同じ読みの本田が14万人ほどなことから、半数に留まっている。それゆえ本田ではなくあえて本多を選んだことにも意味がありそうなものだ。
「ソフトバンク本多が『俺、一応著名人よね? 違うんかな…』と嘆いていたのも無理はありません。ソフトバンクで13年間実働した本多は通算1289安打で、二度の盗塁王に輝いた実績の持ち主。2013年にはWBC日本代表に選ばれており、プロ野球選手としては十分に著名人の一人だと言えます」(スポーツライター)
映画の配役を決める時、役名のチェックは行っているはず。大きな事件や事故の関係人物の名前は避けるべきだし、実在の著名人ならなおさらだ。
そうなるとなぜ今回の映画では、野球界での著名人であるソフトバンク本多とまったくの同姓同名を採用してしまったのか。そこには本多も驚くべき偶然があったという。
「本作は東野圭吾の同名小説が原作で、その原作に本多雄一なる登場人物がいるのです。しかも同小説は1992年3月に発売されたもので、1984年11月生まれのソフトバンク本多はまだ7歳の小学1年生でした。それゆえ小説では、未来のWBC戦士の名前を先取りしていた形になります」(前出・スポーツライター)
おそらくは映画の制作サイドでも、登場人物の名前がソフトバンク本多と被っていることには気づいていたはず。とはいえ原作通りの名前ゆえに、あえて変えるのもかえって不自然という判断だったのかもしれない。
一方でソフトバンク本多もこれまでの人生で一度も、自分と同姓同名の人物に出会ったことがないのだろう。そんなまさかの人物がよもや、大人気小説家の作品に登場していたとは。なんとも不思議な偶然があったものだ。