俳優の山田孝之が、カンヌ国際映画祭で賞を獲るために資金「1億円」の出資を募り映画製作を目指すドキュメンタリードラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京系)が、じわじわと評判を上げている。
どこまでが現実でどこまでが芝居なのかわからない、なんとも絶妙なタッチで描かれる本作は、山田が実在の映画監督・山下敦弘を呼び出すところから始まる。そして山田は、自身は演者として映画に出ず、あくまでプロデューサーに徹すること、もうすでに映画製作に向けた「合同会社カンヌ」を設立済みだということを打ち明け、話が進んでいく。
「しかも山田が主人公の猟奇殺人犯役に指名したのは芦田愛菜。そこで山田と芦田、山下監督の3人は、カンヌで賞を獲るためのノウハウを映画業界の様々な人から聞いて回るんです」(エンタメ誌ライター)
そうしたなか、山田の台本とも思えぬ珍妙な言動が回を追うごとに話題を呼んでいくのだが、その一方で視聴者は、芦田の“大人びた振る舞い”と“小学生の素顔”の二面性に困惑しきりのようだ。
「言葉選び、話し方、空気の読み方、そのすべてが大人びているんです。もしこのシーンのすべてが台本なら、芦田の演技力に驚かされます。逆に素で話しているのなら、弱冠12歳にして分別ある大人のように振る舞えることに、誰もがド肝を抜かれることでしょう。その一方で、夏期講習や夏休みのラジオ体操の皆勤賞を狙っているからと、カンヌへの下見には行けないという小学生らしさも口にする。この芦田の違和感と可笑しさがまた、このドキュメンタリードラマのもうひとつの魅力に化けて、奇妙な面白さを生むんです」(前出・エンタメ誌ライター)
2月3日放送の第5話では、そんな芦田を置いて、2人はカンヌ目指し渡仏する。そこで山田らは主演女優への気遣いなのか、芦田の写真をまるで遺影のように持って連れて回る。
「芦田がこんな扱いされるなんて‥‥という面白さを完全に狙っていますが、それを許している芦田側も肝が据わっている。ある意味、今期ドラマの中で最もカオスな作品と言えるのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
このカオスな物語の中で優等生・芦田がどのように描かれていくのか。山田の言動とともに。芦田の展開からますます目が離せなくなりそうだ。
(稲垣まゆう)