10月からフジテレビ系列で放送がスタートされるドラマ「明日の約束」。井上真央演じる高校のスクールカウンセラーが“毒親”を持つ生徒などとかかわりながら、さまざまな問題を解決していくというストーリーとなっています。
このドラマ、現代の10代の子どもたちが抱える闇にスポットを当てており、非常に注目が集まりそうですが、実際の10代はどうなのでしょうか。
「世の中には、学校やスクールカウンセラー、また行政などに気付かれずに、さらに世間からも見向きもされずに苦しい思いをしている子どもも少なくありません」と、都内で子どもの居場所作りを行う支援団体の代表は話します。
例えば、高校に入ったものの、さまざまな事情で中退をしてしまう子どもたちは多いのだとか。
「母子家庭や、親が病にかかってしまった家庭などで、経済的に余裕がなくアルバイトに明け暮れたことで、学校に居場所をなくして退学してしまう子ども。また、親との関係が悪くて自宅に居場所がなく、家出を繰り返すうちに学校に行けなくなってしまった子などがいます。中には、そうした生活を送るうちに、お金ほしさやかまってくれる相手ほしさで、援助交際をしてしまう女の子も少なくありません」
最近では、ツイッターなどのSNSで気軽に援助交際相手を見つけることができてしまい、「こんなにたくさんの人がやっているのだから」と気軽に手を出しやすくなっているのだとか。
「こうした女の子から“もうやめたい”とSOSがあっても、親がその気持ちを理解せず、より一層突き放してしまうケースも多い。中には、親が公認で、家にお金を入れさせていたケースもありました。家出少女が安全に過ごせるような施設などは行政では用意されておらず、また、自分が悪いことをしているという後ろめたさから、公的なところに助けを求めることができない子がほとんどです。そして、家から出るためのお金、一時の居場所をつくるためのお金、と思って稼いでいるうちに、抜けられなくなっていきます」
やめたいけれど、もう今さら生活を変えることは無理。あの家にまた帰って、小さいときのように何も疑問に思わず暮らすのは無理。そうした思いから、自ら支援の手から離れていく子も少なくないのだそうです。
「世間では、そういう子たちは単に“遊ぶお金ほしさに身体を売る非行少女”とみられ、そうなった背景を考えて助けなくてはというふうにはなかなか動かないのが現状。ましてや、法律違反とわかりながら買う男性はごまんといるわけです。痛みを共有することができない社会の中で、行政支援を進めるべきだ、という声はなかなか上がってきません」
例え非行少女を目にしたとしても、普通はこれくらいの年になれば分別がつくだろう、自業自得だとそういった考えで見放してしまう世の中で、望まぬ妊娠をしてしまったり、さまざまな事件の被害者や加害者になってしまったりということが絶えないのが現状だと、前出の代表はいいます。
10代の子どもたちを考えるとき、まずは、自分の価値観にとらわれることなく、目をそらさず実態を知り、そして、周囲の子どもたちのSOSに耳を傾けようと意識してみることが大切なのではないでしょうか。