うわっ。鮮やかな青色のバスに入った瞬間、思わず歓声が漏れた。アーチ型の天井や床にはクラシックモダンな草花模様が描かれ、独立型の高級シート全21席が横3列(2名用+1名用)で続いていた。最奥にはサービスカウンターもあり、高級ホテルのラウンジといった雰囲気だ。
このバスは、兵庫県姫路市に本社を置く神姫バスが3月25日からスタートした瀬戸内海周辺を6日間で巡る新感覚ツアー「YUIPRIMA OLIVIA」の専用バス。その運行前にプレスツアーがあり、参加したしだいだ。
バスの設計はJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」などで知られる工業デザイナー・水戸岡鋭治氏が担当。全2台あり、総工費は1台あたり1億円以上を費やしている。
シートに座ると全身を包み込む感じ。見た目でわかる肘置きや足元の小テーブルのほか、天井や床にも国産木材が使われている。
JR姫路駅から岡山県倉敷市に向けて出発! 窓が大きく、走行の振動も少なくて実に快適だ。ほどなくアテンダントのドリンクサービスが始まった。瀬戸内エリアの地酒やジュース、ビール、日本茶などがフリードリンクになっていて、座席まで運んでくれる。
藍染めの風呂敷に包んだアメニティセットもプレゼントされ、中には瀬戸内エリアの名品から厳選したハンカチ、リップクリームなどが入っていた。
豪華バスでの移動に加えて、同ツアーの大きな特徴が地域の暮らし・伝統・歴史に触れられる体験だ。例えば「ROUTE1(木曜日出発)」は姫路から倉敷・宇野港への移動中に姫路城と倉敷美観地区のガイドツアーが楽しめる。
プレスツアーでは倉敷美観地区ガイドツアーのさわりを体験できた。倉敷美観地区は江戸期に物資の集散地として栄えた商人の町で倉敷川沿いに白壁の蔵屋敷や洋風建築の建物が並ぶ、古い町並みが残っている。
「ガイドツアーでは倉敷の歴史を追いながら穴場スポットをご案内します。最後は地元の人が集う喫茶店でツアーの質問などをお聞きします」とガイドさん。
その内容は当日のお楽しみだが、ガイドは倉敷で江戸期から続く家系の方々が担当するので、ひと味違う町歩きが楽しめそうだ。
ツアーは完全予約制で1ルート(1日)から参加できる。乗車料金は1ルート6万3000円。今年9月末までは日本人を対象に期間限定で3万円になる。詳細は同社ホームページで。
内田晃(うちだ・あきら):自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。街道、古道、巡礼道、路地裏など〝歩き取材〟を得意とする。